【ミステリー】 団地伝説・俊足ジイさん 『パンジー』 現る
只今のNHK朝ドラは 「ゲゲゲの女房」ですね。物語の舞台となっている水木しげる
さんのお宅は、私の出身地の近所でございます。
ゲ♪ゲ♪ゲゲゲのゲー♪皆さんが子供の頃は、どんな妖怪が流行りましたか?
私の世代では、全国区の妖怪で 「口裂け女」 「こっくりさん」。 そして、地元限定
ですが、「パンジー」 なる者の伝説がありました。「パンジーはバイクより早い」 と、
もっぱらの噂。そして、このパンジー、何と!私と同じ団地に住む実在の人物なの
です(ってもう、人間である時点で妖怪ではないんですが、小学生の間では恐ろしさ
の余り妖怪扱いされておりました)。
ある日の事。クラスメイトの男の子たちが 「今日はパンジーをおびき出す」 と言って
作戦を立てていました。私も噂の主を一目見たくて、車の陰に隠れて待ちました。
悪ガキたちが、団地の芝生に自転車を乗り入れます。しばらく乗り回していると、
「何やってんだ!」 男性の声が聞こえました。「パンジーだ!パンジーが出たぁ!」
悪ガキたちは、蜘蛛の子を散らすように方々へ走り去ります。私もパンジーをチラ見
すると同時に逃走。その後、私たちは打合せ通り、団地内の一室へ集合しました。
「パンジー、見た?」 「うん、黒い革ジャン着てた」。 そう話す私たちの誰もが、心臓
バクバクです。でも本当の恐怖は、ここからでした。 「あれ?○○君、戻らないね」。
そういえば、一人だけ帰りが遅い。 皆が不安を感じ始めた頃、○○君が静かに現れ
ました。そして小さな声で言うのです 「オレ、捕まった・・・」。 私はこの時初めて
“真っ青な顔” というものを知りました。彼の顔色、涙目で震えた声。彼の味わった
恐怖をリアルに察しました。彼は続けます 「パンジー、早かった・・・」。彼はパンジー
に首をつかまれ、今度こんな事をしたらタダじゃ済まないぞ、とスゴまれたそうです。
それを聞いた小学生一同は、沈黙してしまいました(このあと、自分の家に帰る道中
が怖いのなんのって)。
今、思えばですよ。スポーティーな成人男性なら、バイクほど早くなくとも、小学生に
追いつけるのですよ。オジさんは悪ガキにお灸をすえたのだと思います。

(↑↑真ん中が私。どっぷり昭和・・・色合いが社会科教科書の資料写真みたい。)
ところで、オジさんは何故「パンジー」と呼ばれるに至ったのでしょう。それはですね、
団地内の各号棟の前には、広い芝生があるのです。オジさんのお住まいは 1階。
子供たちが進入禁止の芝生へ入って遊んでいたので 「コラ!何やってんだー!」
と顔を出したワケです。その初回のいでたちが “パンツ一丁” だったんですね。
以来、子供たちの間では 「パンジー (パンツ一丁の爺さん)」 として広まりました。
全然、爺さんじゃなかったですけど。夏の暑さに、短パン姿でくつろいでおられたの
でしょうね・・・オジさん、本当にごめんなさい。
さんのお宅は、私の出身地の近所でございます。
ゲ♪ゲ♪ゲゲゲのゲー♪皆さんが子供の頃は、どんな妖怪が流行りましたか?
私の世代では、全国区の妖怪で 「口裂け女」 「こっくりさん」。 そして、地元限定
ですが、「パンジー」 なる者の伝説がありました。「パンジーはバイクより早い」 と、
もっぱらの噂。そして、このパンジー、何と!私と同じ団地に住む実在の人物なの
です(ってもう、人間である時点で妖怪ではないんですが、小学生の間では恐ろしさ
の余り妖怪扱いされておりました)。
ある日の事。クラスメイトの男の子たちが 「今日はパンジーをおびき出す」 と言って
作戦を立てていました。私も噂の主を一目見たくて、車の陰に隠れて待ちました。
悪ガキたちが、団地の芝生に自転車を乗り入れます。しばらく乗り回していると、
「何やってんだ!」 男性の声が聞こえました。「パンジーだ!パンジーが出たぁ!」
悪ガキたちは、蜘蛛の子を散らすように方々へ走り去ります。私もパンジーをチラ見
すると同時に逃走。その後、私たちは打合せ通り、団地内の一室へ集合しました。
「パンジー、見た?」 「うん、黒い革ジャン着てた」。 そう話す私たちの誰もが、心臓
バクバクです。でも本当の恐怖は、ここからでした。 「あれ?○○君、戻らないね」。
そういえば、一人だけ帰りが遅い。 皆が不安を感じ始めた頃、○○君が静かに現れ
ました。そして小さな声で言うのです 「オレ、捕まった・・・」。 私はこの時初めて
“真っ青な顔” というものを知りました。彼の顔色、涙目で震えた声。彼の味わった
恐怖をリアルに察しました。彼は続けます 「パンジー、早かった・・・」。彼はパンジー
に首をつかまれ、今度こんな事をしたらタダじゃ済まないぞ、とスゴまれたそうです。
それを聞いた小学生一同は、沈黙してしまいました(このあと、自分の家に帰る道中
が怖いのなんのって)。
今、思えばですよ。スポーティーな成人男性なら、バイクほど早くなくとも、小学生に
追いつけるのですよ。オジさんは悪ガキにお灸をすえたのだと思います。

(↑↑真ん中が私。どっぷり昭和・・・色合いが社会科教科書の資料写真みたい。)
ところで、オジさんは何故「パンジー」と呼ばれるに至ったのでしょう。それはですね、
団地内の各号棟の前には、広い芝生があるのです。オジさんのお住まいは 1階。
子供たちが進入禁止の芝生へ入って遊んでいたので 「コラ!何やってんだー!」
と顔を出したワケです。その初回のいでたちが “パンツ一丁” だったんですね。
以来、子供たちの間では 「パンジー (パンツ一丁の爺さん)」 として広まりました。
全然、爺さんじゃなかったですけど。夏の暑さに、短パン姿でくつろいでおられたの
でしょうね・・・オジさん、本当にごめんなさい。