2012/03/07

東日本大震災(24) 石巻女川の現状視察

2月中旬の事。。。スタジオを去る前に、石巻在住のNAOMI がボソッと言いました、
「先生・・・、石巻、見に行きませんか?」。 数秒の空白のあとで、私は 「行く!」 と
答えました。なぜ空白が出来たのか、と申しますと・・・。その2日前から、思うところ
あって 「もっと津波の事を知りたいな、石巻をよく見たいな」 などと真剣に考えて
いたのです。ですから、NAOMI の申し出に大層驚きました。
 
彼女いわく 「なんか・・・自分の好きな人?・・・大事な人には、(津波というものを)
知っていてほしいな~って、気持ちが出てきて。最近モンモンとしてたんです。」
との事。同じく石巻に住むKUMIKOは、「私たちは、石巻の事を知らせて、可哀想
と思ってほしいんじゃないんですよね~。もう誰にもあんな目にあってほしくないん
です。」 と言います。津波の時には こう逃げなきゃダメなんだ、とか、テレビでは
放映されない石巻の現状はこうなんだ(≒津波の爪あとの深さはこうなんだ)、
といった事を知らせたい衝動にかられている様子です・・・切実なほどに。
 
そして、この前の日曜、彼女たちのご厚意に甘えて、今の石巻をご案内頂きました。
 
えぐられた家々が未だに建ち並ぶ場所、それすら無くてガレキが撤去された地域・・・
テレビや新聞というフレームの中では何度も見てきた光景ですが、
実際は自分の周り360度、地平線のかなたまで建物が無いに近い状況でした。
津波被災地を思い、怒りや悲しみで涙してきたというのに、
現地でむき出しとなった土の上に立つと 「これでは助かる事など出来ない・・・
逃げ場が無い」 と絶望を覚え、感情を無くしそうになりました。
 
 津波は命を取らなかったとしても、生きている人の魂を抜いていく・・・
 
あの日、津波によって心が破壊されるほどの恐怖にさらされた人々の事を、
実感を持って理解しました。
 
 石巻の現状2012
 (① 「がんばろう!石巻」。 ②何度もステージを開催した石巻文化センター。
  ③地平線にモザイク状のラインが見えたので、目を凝らしました・・・撤去された
  ガレキの集積所でした。ここは現在、こんなにも広大に何もありませんが、
  かつては住宅でびっしりだった場所です。)