忘れられない葬儀の光景があります。数階立ての葬祭会館に入りきれないほどの
人々が訪れ、故人を見送る光景・・・。 私が大変お世話になった 「武田譲先生」 の
ご葬儀での様子です。武田先生は、宮城県三女高音楽部を長年指導され、
全日本合唱コンクール全国大会・金賞にも導いた方です。
各地の合唱団から、絶えず指導依頼のオファーがありました。
　
先生のご出棺の際、葬儀に駆けつけた大勢の教え子たちが歌を歌い始め、
それは大合唱となりました。いかに先生が愛されていたか、皆さんがどれだけ
先生に感謝をしていたか・・・ その想いが、私の体に染み渡りました。
　
　
（↑↑武田先生の新聞記事も 「大事なモノ」 専用の箪笥！？へ仕舞ってある。）
　
武田先生は、振付師としてまだまだ新米であった私を起用して下さり・・・
私は 「先生の所でプロにして頂いた」 と深く感謝をする毎日です。
先生の合唱団でピアノ演奏をされていた方が、お見送りの言葉の中で、
このような事を述べられました。。。 「主婦となって第一線から離れた自分に、
ピアノ演奏の依頼が来た時には驚いた。もっとお上手な人がいらっしゃるので
他に頼んでほしいとお断りしたが、武田先生いわく “上手い人はいくらでも
居るっちゃ” との事。その一言で、演奏を引き受けると決めた」 そうです。
　
私は、この話を聞いて、カーッと熱くなりましたね。武田先生は、話し合いながら
一緒に音楽作りができる人間を探していたのだ・・・ 私が起用された理由も
そこにあるのだ、と知りました。鼻がツーンと高くなったプロよりは、駆け出しで
一生懸命に事に当たるであろう新人を選んで下さったのです。
武田先生の考え方、器の大きさに、改めて感動致しました。
　
「大物」 「偉人」 と言われる人物は、案外、エバっておられませんよ？？ 物腰
柔らかで、人への愛がある方が多いと思います。武田先生は、正にそうでした。
（ ※ このお話、次回へ続きます。 ）